2



寝室に連れられ、ベッドに寝転ぶ。

いつもは佑介が横にいるのに今日は上にいる。
少し濡れた髪がまたかっこよくて、思わず頬に手をのばす。
その手の上から佑介もまた手をかぶせ握った。

「覚悟は?」

「だいじょ、ぶ」

少しふざけて、笑い、そこから溺れるようにベッドへ沈む。

「んぁ…」

鎖骨を嘗められたと思いきや、ちくりとする感触に驚くと、キスマーク、と呟かれた。

―――俺は佑介のもの。
それが目に見える形で表された。

「あ、はぁ…」

乳首を指が掠め、いつもなら感じないのに、佑介に触られるともう性感帯のように感じる。

そしてさわる内にだんだんと下半身へともう片方の手がのび、熱の塊に触れた。

「あっ…!」

「熱いね…」

耳元で囁かれるのは慣れない。
何もかも佑介に支配されている、そんな錯覚。
体は火照るように熱く、巧く自分がコントロールができていない―――。
その現状が、支配へと繋がってしまうのだ。
しかし、それは愛がある上での支配…少なからず、自分は佑介に求めてしまっているのだ。


「あっ…!いくっ…まって、」

「いっていいよ」

「あっ、ぁあああっ!」

欲望を佑介の掌にぶちまけ、体が軽くなった気がした。
しかし、その後に襲うのは恥ずかしさ……
抵抗できなかったとしても、佑介よって、佑介の前で、佑介の手に精液をぶちまけてしまったのだ。
受け手というのは覚悟はしてたものの、それでも自分は男だ。

「佑介と、イきた、い…」

せめて一緒に。
いや、これが恋人の理想。




ぐちゅり…

「ああっあ!あんあっ、あああ!」

普段は排泄器官として使われる場所も、今となっては完全なる性器。
熱く大きな塊が俺の穴を貫いた。

「どう?きもちいいか…?」

「あっ、だめ…あああっ!やっんん…」

「だめなのか?良さそうに見えるんだが」

激しい動きにほんの少しの痛みと多大なる快感に翻弄されるが、佑介の優しさは決して消えない。
だめ、と言ってしまってもこの温もりを離すわけにはいかないのだ。

「きもち、っあ!ん…ふぁっ…」

「俺も気持ちいいよ…」

だんだん絶頂に近づく。
佑介の普段の余裕な姿が崩れてきているのが分かる。

ペニスを擦られ、2つを同時に責められる快楽に喘ぐ。

「あっいくっ!いっいっちゃ…!」

「俺も…んんっ…!」

精液が自分の腹に飛び散るのとほぼ同時に、佑介も達したようだ。

「ふぁ…やったん、だよな…」

「そうだよ?何、実感無いって?」

「んー、そうじゃないけど…」

優しく頭を撫でられ、瞼がだんだん重くなるのがわかる。

実感がない訳じゃない。
優しさも温もりも快感も、何もかも鮮明に覚えている。
だけど、俺が願っていた、恋人のセックスができた喜びと佑介が俺を拒まず…むしろ求めてくれたことに安堵していた。

「好、き…」

聞こえたか聞こえてないか分からない声で呟いた。


女じゃなくて男だけど…

生徒なのに先生に恋しちゃったけど…

生意気な奴だけど…

それでも、それでも。




撫でた手がほんの一瞬止まった気がしたが、また元の律動に戻り、眠気をさそう。


「俺も…好きだから」

そう呟いた佑介の声は現実か否か。

夢でも構わない……
俺に愛を、温もりをくれれば、

彼がそばにいてくれればそれでいい。





end





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